
契約を更新するたびに有給がゼロに戻っていると思っていませんか。契約社員の有給は、同じ会社で働き続けている限り更新でリセットされません。勤続年数は通算され、使い切れなかった分も最大2年間は繰り越されます。
このため、権利があるかではなく、更新と満了の区切りで失わずに使い切れるかが課題です。次のステップで計画的に使い切りましょう。
- ステップ①勤続年数と有給の残日数を会社に確認する
- ステップ②契約更新で通算される根拠を就業規則で確かめる
- ステップ③付与日から1年間の取得計画を先に立てる
- ステップ④更新面談の前に希望日をメールで申請する
- ステップ⑤契約満了の2か月前から残日数の消化に入る
この記事では、リセットされる場合とされない場合の見分け方、勤続年数別の付与日数、正社員やパートとの違い、満了時の扱いを解説します。また、よくある質問もまとめました。ぜひ参考にしてください。

契約更新で契約社員の有給がリセットされる場合とされない場合
同じ会社で契約を更新して働き続けている限り、契約社員の有給がリセットされることはありません。勤続年数は通算され、使い切れなかった日数もそのまま繰り越されます。
ゼロに戻るのは、雇用の関係がいったん切れて、別の契約として結び直された場合だけだと考えてください。根拠となるのは、労働基準法第39条が定める「継続勤務」という要件です。この継続勤務は契約書の枚数ではなく、実際に働き続けているかどうかという実態で判断されます。
日本労働組合総連合会の労働相談Q&Aでも、短期の契約であっても更新して6か月を超えて継続勤務すれば、1年ごとに新しく有給が付与されると説明されています。
◆状況別にみた契約社員の勤続年数の通算と残っている有給の扱い(筆者作成)
| 状況 | 勤続年数の通算 | 残っている有給 |
| 同じ会社で契約を更新して働き続ける | 通算される | 繰り越される |
| 更新の合間に数日から数週間の空白がある | 実態に即して判断され、通算されることが多い | 繰り越される |
| 部署や勤務地、担当する工程が変わる | 通算される | 繰り越される |
| 契約社員から正社員に登用される | 通算される | 繰り越される |
| 勤続5年を超えて無期雇用に転換する | 通算される | 繰り越される |
| 定年後に嘱託として再雇用される | 通算される | 繰り越される |
| 契約が終了し、期間を空けて改めて入社する | 通算されない | 消滅する |
| 別会社へ転籍し、新たに契約を結び直す | 原則として通算されない | 転籍先の規定による |
更新の合間に数日の空白が入った場合でも、それだけで残日数がゼロになるわけではありません。更新が繰り返されてきた経緯や、その空白に別の仕事へ就いていたかまで含めて判断されます。
また、勤続5年を超えて無期雇用へ転換したときも、契約の相手が同じである以上は日数が引き継がれます。転換の仕組みは厚生労働省の有期契約労働者の無期転換サイトで確認してください。

契約社員が有給を使い切る5つのステップ
有給は自分から申し出ない限り動きません。契約更新と契約満了という2つの区切りから逆算すると、残日数を余らせずに使い切れます。子どもの学校行事や通院など、日程が先に読める休みから順に押さえていきましょう。
◆契約社員が有給を使い切る5つのステップの概要図(筆者作成)

ステップ①勤続年数と有給の残日数を会社に確認する
最初の付与日は、その会社と労働契約を結んで働き始めた日から6か月後です。以後は、1年ごとに新しい日数が加算されます。
会社には年次有給休暇管理簿を作成して、3年間保存する義務があります。付与日と残日数は会社側が必ず把握しているため、給与明細に印字がなければ人事や総務へ問い合わせてください。
有給の時効は2年間と労働基準法第115条で定められており、繰り越せるのは1年分だけです。古い分から順に消えていくため、付与日と残日数の両方を必ず控えておきましょう。
ステップ②契約更新で通算される根拠を就業規則で確かめる
就業規則の年次有給休暇に関する条文を読み、勤続年数の起算日がどのように書かれているかを確認します。契約社員向けの規程が別冊になっている会社も少なくありません。
もし更新のたびにゼロから数え直すと定められていても、その部分は無効になります。法律の基準に達しない労働条件は労働基準法第13条によって効力を持たず、法律の基準まで引き上げられるからです。
会社から更新でリセットされると説明された場合は、根拠となる条文を示してもらいましょう。就業規則の記載よりも、労働基準法の基準が常に優先されます。
ステップ③付与日から1年間の取得計画を先に立てる
付与日を起点に、次の付与日までの12か月をカレンダーで区切ります。子どもの学校行事や通院、家族の予定など、動かせない日から先に埋めていくやり方が確実です。
10日以上の有給が付与された人については、会社が年5日を取得させる義務を負っています。自分で希望を出さないまま放置すると、会社の都合で日程を指定される形になります。
また、繰り越し分がある場合は、古い付与分から先に消化してください。先に計画を出した人ほど、自分の都合に合う日で有給を確保できます。
ステップ④更新面談の前に希望日をメールで申請する
申請はメールか所定の用紙で行い、いつ誰に出したかが残る形にします。口頭だけで伝えると、繁忙期を理由にうやむやにされる場合があります。
取得の理由を会社へ説明する義務はないため、記入欄があれば「私用のため」と書いてください。また、更新面談の直前ではなく、面談より前に申請を済ませておくと、次期の条件交渉と切り離して処理されます。
ラインの応援体制や代替の担当者まで添えて伝えると、現場も動きやすくなります。
ステップ⑤契約満了の2か月前から残日数の消化に入る
契約満了日を過ぎると、残っていた有給の権利は消滅します。更新しないと決まった時点で、残日数と引き継ぎ日程を並べて消化計画を作りましょう。
満了間際にまとめて日程を指定した場合、会社は別の時季へ変更はできません。ほかに休ませる余地が残っていないため、変更を求める権利が働かないからです。
引き継ぎ資料の作成を前倒しし、後半に有給をまとめる進め方が現実的です。満了の2か月前に動き出せば、20日分の残日数でも無理なく消化できます。

契約社員の有給が何日もらえるかの早見表
週5日または週30時間以上働く契約社員は、勤続6か月の時点で10日の有給が付与されます。雇用形態による差はなく、正社員とまったく同じ日数です。
月給23万円で月平均の所定労働日数を20日とすると、1日分の賃金は1万1,500円と計算できます。有給を使わずに欠勤で処理した日は、この金額がそのまま給与から差し引かれます。
◆勤続年数別にみた契約社員(週5日勤務)の有給付与日数と賃金換算
(月給23万円・月平均所定労働日数20日と仮定した筆者の試算)
| 勤続年数 | 付与日数 | 賃金換算の目安 |
| 6か月 | 10日 | 11万5,000円 |
| 1年6か月 | 11日 | 12万6,500円 |
| 2年6か月 | 12日 | 13万8,000円 |
| 3年6か月 | 14日 | 16万1,000円 |
| 4年6か月 | 16日 | 18万4,000円 |
| 5年6か月 | 18日 | 20万7,000円 |
| 6年6か月以上 | 20日 | 23万円 |
週の所定労働日数が4日以下で、かつ週の所定労働時間が30時間未満の場合だけ、比例付与という仕組みが適用されます。比例付与とは、週に何日働くかに応じて有給の日数を按分する決まりです。
◆週の所定労働日数が4日以下で週30時間未満の契約社員に付与される日数(比例付与)
| 週の所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
| 週4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 週3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 週2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 週1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
繰り越しは1年分までで、保有できる上限は前年分と当年分を合わせて40日です。勤続を重ねた契約社員ほど、時効で消える日数が大きくなります。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、労働者1人平均の付与日数は18.1日、取得日数は12.1日、取得率は66.9%でした。取得率は10年連続で上昇したものの、平均で年6日分は使われないまま時効を迎えている計算になります。

契約社員の有給は正社員やパートと同じ基準で決まる
有給の付与要件を定めた労働基準法第39条には、雇用形態による区別がありません。6か月の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤という2つを満たせば、契約社員にも当然に発生します。
契約社員が正社員と違うのは契約期間の定めがある点だけで、有給の日数を減らす理由にはなりません。
◆雇用形態別にみた年次有給休暇の扱いの比較(筆者作成)
| 雇用形態 | 申請する相手 | 付与日数の基準 | 契約期間の定め |
| 正社員 | 勤務先の会社 | 勤続年数に応じて10日から20日 | なし |
| 契約社員(フルタイム) | 勤務先の会社 | 正社員と同じ | あり |
| パート・アルバイト | 勤務先の会社 | 週4日以下かつ30時間未満なら比例付与 | ある場合が多い |
| 派遣社員 | 派遣元の派遣会社 | 正社員と同じ | あり |
契約社員は派遣社員と違い、働いている会社そのものと直接雇用の契約を結んでいます。いま所属している職場の上司か人事部へ申し出てください。
待遇面でも、正社員との間に不合理な差を設ける取り扱いはパートタイム・有期雇用労働法の第8条と第9条で禁止されています。有給休暇はそもそも法律で日数が決まっているため、契約社員だけ少なくする運用は認められません。

契約期間の満了や退職で契約社員の有給はどうなるか
契約が満了して雇用関係が終われば、残っていた有給の権利はその日で消えます。翌年度に持ち越したり、次の勤務先へ移したりはできません。
退職や満了が決まった時点で残日数をまとめて指定した場合、会社は時季の変更を求められません。満了日を過ぎてから請求しても取り戻せないため、動き出す時期がすべてを決めます。
有給の買い取りは原則として認められていません。休ませずに金銭で済ませる扱いを許すと、休息を保障するという制度の趣旨が崩れるからです。
しかし、退職時に使い切れなかった分を会社が任意で買い取ることは違法になりません。あくまで会社の判断であり、こちらから請求できる権利ではない点に注意してください。

契約社員の有給申請を会社が拒めるかと年5日の取得義務
会社は原則として、申し出のあった日に有給を与えなければなりません。時季を変更できるのは事業の正常な運営が妨げられる場合に限られ、単に人手が足りないという理由だけでは足りません。
10日以上の有給が付与された労働者については、会社が年5日を必ず取得させる義務を負います。違反した場合、労働者1人につき30万円以下の罰金が科される決まりです。制度の詳細は、厚生労働省の年5日の年次有給休暇の確実な取得にまとめて解説されています。
有給を申し出る行為は会社へのお願いではなく、会社側が果たすべき義務を進めるための権利行使です。
有給を取得したことを理由に、賃金を減らしたり査定を下げたりする扱いは労働基準法附則第136条で禁止されています。取得を理由に契約更新を拒む対応も、同じく不利益な取り扱いに含まれます。
会社に取り合ってもらえないときは、勤務先を管轄する労働基準監督署へ相談してください。岡山県内で働いているなら岡山労働局の各監督署が窓口になり、相談は無料で受けられます。

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契約社員の有給でよくある3つの質問
制度の全体像がつかめても、自分の勤務先に当てはめる段階で判断に迷う場面は残ります。実際に相談が多いのは、有給を使った日の給与、更新への影響、無期転換後の扱いという3つです。いずれも法律の建て付けを知っていれば、会社の説明が正しいかをその場で判断できます。
質問①契約社員が有給を使った日の給与は満額もらえますか?
月給制であれば、有給を使った日も給与は減りません。欠勤として処理された場合にだけ控除が発生します。
時給制の契約社員については、通常の勤務どおり働いたものとして計算する方法が一般的です。会社によっては平均賃金や健康保険の標準報酬日額を使う場合もあり、その取り扱いは就業規則に明記されています。
計算方法を会社が都合で使い分ける運用は認められません。明細の金額に疑問があれば、就業規則のどの条文にもとづく計算かを確認しましょう。
質問②アルバイトから契約社員になると勤続年数は通算されますか?
同じ会社での雇用が続いている限り、勤続年数はアルバイトやパートだった期間から通算されます。雇用形態の呼び方が変わっても、労働基準法第39条が求める継続勤務は途切れません。
変わるのは、付与日数の計算方法だけです。週3日のアルバイトから週5日の契約社員になった場合、次の付与日からは比例付与ではなく通常の付与日数が適用されます。
アルバイトとして2年働いてから契約社員になった人であれば、勤続2年6か月の付与日に12日を受け取ります。起算日はアルバイトとして入社した日のままであり、契約社員になった日から数え直す扱いは認められません。
質問③無期雇用に転換したら有給はゼロからやり直しになりますか?
同じ会社との契約が続くため、勤続年数も残日数もそのまま引き継がれます。無期雇用への転換は契約期間の定めを外す手続きであり、雇用関係を切り替えるものではありません。
転換の直後に付与日数が増える場合もあります。勤続3年6か月を境に加算される日数が1日から2日へ変わるため、転換と加算のタイミングが重なるからです。
転換後に日数を減らされたと感じたときは、転換前の付与日数と付与日を照らし合わせてください。無期転換を理由に有給を減らす取り扱いに、法律上の根拠はありません。

契約社員の有給を正しく知って使い切ろう!
契約社員の有給は、同じ会社で働き続けている限り契約更新でリセットされず、勤続年数に応じて最大20日まで増えていきます。あとは、更新と満了という区切りの前に動き出せるかだけです。
以下のステップで、付与日と契約満了日から逆算して進めてください。
- ステップ①勤続年数と有給の残日数を会社に確認する
- ステップ②契約更新で通算される根拠を就業規則で確かめる
- ステップ③付与日から1年間の取得計画を先に立てる
- ステップ④更新面談の前に希望日をメールで申請する
- ステップ⑤契約満了の2か月前から残日数の消化に入る
また、労使協定を結んでいる会社であれば、年5日を上限に1時間単位で有給を使えます。半日も休めないという場合は、時間単位の年次有給休暇が就業規則にあるかを確かめてみてください。残日数を把握した今日が、有給を1日も捨てずに済ませる出発点です。
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