派遣で働くことを検討している方にとって、住居の確保は重要な要素です。特に、地方から都市部へ出て働く場合、家賃や初期費用は大きな負担となります。

派遣会社が提供する「派遣の寮」はこれらの負担を軽減し、スムーズに新生活をスタートできる有効な手段です。そこで、本記事では寮の種類や費用相場、メリット・デメリット、設備、よくある質問について解説します。

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派遣の寮とは?

派遣の寮とは、主に地方や郊外にある工場などで働く人のために、派遣会社が用意した住居のことです。地方の工場は人手不足であるケースが多く、遠方からの就労を希望する人材を確保するために寮が提供されています。

寮の種類

派遣の寮には、大きく分けて「1R(ワンルーム)寮」と「集合寮」の2種類があります。

寮の種類1R寮集合寮
間取りワンルームマンションタイプ各個室+共用部
プライバシー高い低い
寮費平均6万円(光熱費込み)無料〜2万円以下
管理人常駐していない常駐している
通勤時間平均20分平均10分

どちらの寮にもメリット・デメリットがあるため、ご自身のライフスタイルや希望に合わせて選ぶと良いでしょう。

寮の設備

派遣の寮には備え付けの設備がどの程度あるのかは、働く方の生活のしやすさに直結する重要なポイントです。

備え付け設備が充実していれば、入寮時に自分で購入するものが少なく、初期費用を抑えられます。どのような設備が備え付けられているのか、事前に確認しましょう。

設備説明
部屋個室、相部屋、ユニットバスタイプなど、さまざまな種類があります。最近は個室タイプが増えていますが、事前に確認しておきましょう。広さや収納スペースも事前に確認しておくと安心です。
家具ベッドは多くの場合備え付けられています。その他、机、椅子、カーテンなども備え付けられている場合があります。
家電冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコンなどの家電が備え付けられている場合があります。共用の場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
インターネットWi-Fi環境が整っている寮が増えています。通信速度や利用料金なども確認しておきましょう。
共用設備キッチン、トイレ、お風呂、食堂などの共用設備の有無や、利用ルールなども確認しておきましょう。

上記以外にも、駐車場の有無や、駐輪場の有無なども確認しておくと便利です。

寮費の相場

寮費の相場は、エリアや寮の種類、設備などによって大きく変動します。近隣の賃貸物件と比較すると、一般的には家賃の10%~50%程度が相場と言われています。

例えば、近隣の賃貸物件の家賃が6万円だとすると、寮費は6千円~3万円程度になる可能性があります。

また、寮が社有か借上げかによっても寮費は異なってきます。2016年の労務行政研究所の調査によると、社有寮の平均寮費は約11,302円で、全体の約35.7%が5千円~1万円未満の価格帯に収まっていました。

一方、借上げ寮の平均寮費は約12,181円で、全体の約42.2%が1万円~1万5千円未満の価格帯です。さらに、水道光熱費を会社が負担してくれる寮も存在します。

参考:「社宅・独身寮の最新動向」

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派遣で寮に住む3つのメリット

派遣社員として働く際に寮に住むことには、様々なメリットがあります。ここでは、その中でも特に大きなメリットを3つご紹介します。

1.家賃を抑えて貯金できる

家賃を抑えられることが、派遣で寮に住む大きなメリットの一つです。家賃が無料、あるいは格安の寮が多いのです。

生活費の大部分を占める家賃を抑えられれば、その分を貯蓄に回すことができます。派遣の寮は、家賃以外にも生活費を抑えられる工夫がされている場合があります。

たとえば、水道光熱費が無料または格安で済む寮、食堂が併設されている寮、あるいは職場まで送迎バスがある寮を選ぶことで、さらに支出を抑えられます。特に貯金をしたい、まとまったお金が必要な方にとって、家賃を抑えて生活費を節約できる派遣の寮は魅力的と言えるでしょう。

2.家具家電付きでスタートできる

派遣の寮の魅力の一つは、家具家電が備え付けられている点です。新生活を始めるにあたって、家具家電を揃えるのは大きな負担となります。

家具家電が備え付けられていることで初期費用を抑えられ、すぐに新生活をスタートできるだけでなく、生活に必要なものが揃っているため、快適に過ごすことができます。

ただし、すべての寮に上記の家具家電が完備されているとは限りません。事前に派遣会社に確認することをおすすめします。

3.同僚との交流の機会が増える

同じ派遣先で働く同僚と寮で一緒に生活することで、自然と交流の機会が増えます。仕事で分からないことなどを気軽に相談できたり、休日は一緒に遊びに行ったりと、より親密な関係を築けるでしょう。

特に地方から出てきて都会で一人暮らしをする場合、知り合いが全くいない状態からスタートするため、寂しさを感じやすいものです。寮生活では、すぐに気の合う仲間と出会うことができ、すぐに寂しさを解消できる場合もあります。

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派遣で寮に住む3つのデメリット

寮生活にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。快適な寮生活を送るためにも、事前にデメリットを把握しておきましょう。主なデメリットとして下記の3つが挙げられます。

1.プライバシーの制限がある

社員寮では、プライバシーが制限される可能性があることを認識しておく必要があります。共同生活を送る上では、ある程度のルールや制約は避けられません。

例えば、抜き打ちで部屋の点検が行われるケースもあります。これは、寮の衛生状態や安全性を保つための措置ではありますが、居住者にとってはプライバシーの侵害と感じられる場合もあるでしょう。

事前に点検の有無や頻度を確認し、納得した上で入寮を検討することが大切です。また、共有スペースの利用においても、他者の存在を常に意識する必要があります。

プライバシーを重視する方にとって、寮生活はストレスとなる可能性があるため、事前に寮のルールや環境をよく確認し、自分にとって許容範囲内かどうかの判断が重要です。

2.環境の変化に対応しなければならない

派遣の寮はそれまで住んでいた環境とは大きく異なる可能性があります。地方から都会への引っ越しはもちろんのこと、初めての一人暮らしという方もいるかもしれません。新しい環境に慣れるまでは、何かと苦労することもあるでしょう。

特に初めての一人暮らしの場合は、今まで家族に頼っていた家事や生活費の管理などをすべて自分で行う必要があります。慣れない生活でストレスを感じるケースも少なくありません。

新しい環境にスムーズに適応するためには、前向きな気持ちで変化を受け入れることが大切です。

3.寮の設備やルールが希望に合わない場合もある

寮は、すべての人に合うとは限りません。設備やルールが自分の希望に合わない場合、ストレスを感じてしまう可能性があります。快適な生活を送るためにも、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

ただし、事前に確認することで、入寮後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性を減らせます。快適な新生活を送るためにも、事前の確認を怠らないようにしましょう。

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寮付き派遣を探す際の3つのポイント

寮付き派遣の仕事は、初めての一人暮らしの方や、地方から出てきて都会で働きたい方にとって魅力的な選択肢です。しかし、快適な新生活を送るためには、事前の情報収集が欠かせません。ここでは、寮付き派遣を探す際の3つのポイントを紹介します。

1.派遣会社に相談する

派遣会社には寮付きの求人を多く扱っているところもあるので、まずは希望条件を伝えて相談してみましょう。仕事内容だけでなく、寮の希望についても詳しく伝えられると、より条件に合った求人を紹介してもらえる可能性が高まります。

相談時に寮に関する費用についても確認しておきましょう。寮費以外にも、敷金や礼金、光熱費、食費などが別途発生するケースもあります。また、退去時の費用負担についても事前の確認が大切です。

2.寮付きの求人を絞り込む

寮付きの求人を効率的に探すには、求人サイトや派遣会社のウェブサイトで検索条件を絞り込むことが重要です。

単に「派遣」で検索するだけでなく、「寮付き」「寮完備」などのキーワードを追加して検索することで、希望に合った求人を効率よく見つけることができます。主な絞り込み条件と、その探し方の例を以下に示します。

絞り込み条件探し方の例
寮費「寮費無料」「寮費補助あり」「月○万円以下の寮」など
部屋タイプ「個室寮」「相部屋寮」「ワンルーム」「ファミリー向け」など
設備「家具家電付き」「インターネット完備」「バス・トイレ別」など
勤務地「東京都の寮付き派遣」「駅チカ寮付き求人」など
職種「製造業の寮付き派遣」「IT系の寮付き求人」など

これらの条件を組み合わせて検索することで、より理想に近い寮付き求人を絞り込めます。

3.寮の設備や費用などを確認する

快適な寮生活を送るには、事前の情報収集が欠かせません。内見ができればベストですが、難しい場合も多いでしょう。そこで、派遣会社への問い合わせや求人情報の確認を通して、設備や費用について詳細の把握が重要になります。

確認事項詳細
部屋の種類個室か相部屋か、広さ、収納スペースの有無などを確認しましょう。個室はプライバシーが守られますが、相部屋は費用を抑えられる場合があります。
設備家具家電、インターネット環境、エアコンの有無は必須確認事項です。共有スペースの設備(キッチン、トイレ、浴室、洗濯機など)についても確認しておきましょう。
費用寮費だけでなく、光熱費、水道代、インターネット利用料などが別途かかるのか、料金に含まれているのかを確認します。敷金や礼金、清掃費などの初期費用についても確認しておきましょう。
規則門限や友人の訪問、共用スペースの利用ルールなども確認しておきましょう。
周囲の環境スーパーやコンビニ、病院、駅からの距離など、生活に密着した周辺環境も確認しておくと安心です。

これらの情報を確認することで、入寮後の生活を具体的にイメージできます。希望に合う寮を見つけるためにも、事前に確認しましょう。

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派遣の寮でよくある5つの質問

ここでは、派遣の寮に関するよくある質問とその回答をまとめました。疑問を解消して、安心して寮生活を始めましょう。

質問1.寮費はどのように支払う?

寮費の支払い方法は、主に以下の3つのパターンがあります。以下に、それぞれの支払い方法の特徴をまとめました。

支払い方法特徴
給与天引き支払いを忘れずに済む
銀行振込自分のタイミングで支払える
現金払い直接支払う必要があるため、手間がかかる

派遣会社によって異なるため、事前に確認しましょう。

質問2.寮のルールはある?

主なルールとして下記のようなものがあります。

ルール説明
門限深夜0時など、寮によって門限が設定されている場合があります。
外泊申請が必要な場合があります。無断外泊は禁止です。
友人・家族の訪問時間や場所が制限されている場合があります。宿泊は禁止されている場合がほとんどです。
共用設備キッチン、お風呂、トイレなどの共用設備は、決められた時間で使用し、清潔に保つ必要があります。
音量夜間や早朝は、他の居住者に配慮して音量を抑える必要があります。
喫煙寮内は禁煙になっている場合が多いです。喫煙場所は指定されている場合があります。
飲酒寮内での飲酒が禁止、または制限されている場合があります。
ペット多くの寮ではペットの飼育は禁止されています。
ゴミ出し分別方法やゴミ出し日が決められています。
その他寮によって独自のルールが定められている場合があります。

ルールは寮によって異なるため、入寮前に必ず確認しましょう。ルールを守らない場合は、注意を受けたり、最悪の場合退寮処分となる場合もありますので、快適な寮生活を送るためにもルール順守を心がけてください。

質問3.友人や家族を寮に呼べる?

寮に友人や家族を呼ぶことができるかどうかは、寮のルールによって異なります。管理人が常駐している寮では、訪問者をチェックされるため、友人や家族を呼ぶことは難しいでしょう。

一方、管理人がいない寮ではルールで禁止されていても、実際には黙認されているケースもあるようです。寮に友人や家族を呼ぶことを検討している場合は、事前に寮の管理者または派遣会社への確認をお勧めします。

質問4.寮を途中で退去できる?

派遣社員が途中で退去すると、派遣会社が違約金を支払う必要が生じるケースがあります。派遣会社はその費用を派遣社員に請求するため、退去時に高額な費用負担が生じる場合があるため、契約内容の確認は必須です。

また、退去の申し出は、契約書に記載されている期日までに伝えなければなりません。多くの場合、1ヶ月前までに申し出ることが求められます。期日を過ぎて退去を申し出た場合、翌月分の寮費を請求される可能性があります。

質問5.寮でのトラブルはどうすればいい?

寮生活では、様々なトラブルが発生する可能性があります。トラブルの内容によっては、法的な対応が必要になる場合もあります。

例えば、無断欠勤を理由に派遣会社の担当者が無断で寮の部屋に侵入してきた場合は、プライバシー侵害にあたる可能性があります。このようなケースでは、弁護士等の専門家に相談することも検討しましょう。

トラブルが発生した場合は一人で抱え込まず、寮の管理者や派遣会社への相談してみてください。

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まとめ

この記事では、派遣の寮について、メリット・デメリット、寮費相場、よくある質問など、様々な情報を網羅的に解説しました。

派遣の寮は、家賃を抑えて貯金ができたり、家具家電付きで初期費用を抑えられたりと、メリットがたくさんあります。一方で、プライバシーの制限や環境の変化への対応など、デメリットも存在します。

寮付き派遣を検討する際は、派遣会社に相談し、寮の設備や費用、ルールなどを事前にしっかり確認することが重要です。希望条件に合った寮を見つけ、快適な新生活を送りましょう。

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